今週公開されたのがトランプ氏の2025年度の個人資産状況で、927ページに及ぶレポートによれば大統領は昨年22億ドルの個人資産を増やし、
そのうち14億ドルが暗号資産ビジネスからのもの。中でもミームコイン、”トランプ・コイン”による利益は6億3600万ドル(1025億円)。
トランプ氏を含む初期投資家の58のアカウント全てが、高値で売り逃げて億円単位の利益を上げたものの、その後の90~98%の値崩れで
資産を失ったアカウントは76万4000件。トランプ氏の莫大な利益は、トランプ政権による暗号資産への大幅な規制緩和で実現したもので、
アメリカ建国250周年を迎える週に米国大統領による史上最悪の利益相反の疑いが報じられたのだった。
そのアメリカは今週も猛烈な熱波に見舞われ、建国記念日に全米各地で行われるパレードや花火を含む祝賀イベントが
見直しを迫られていたけれど、6月25日から7月10日までワシントンDCのナショナル・モールで開催され、現時点で来場者が殆ど寄り付かないのがグレート・アメリカン・ステートフェア。
10年前に建国イベントの実行委員会として超党派で結成され”アメリカ250”のために用意された1億ドルの予算の殆どが、昨年11月にトランプ派で結成された”フリーダム250”に流れた結果、
施設建設を含む準備はトランプ氏の友人や支持者のコントラクターが担当。日中気温が35度を超える状況を知りながら設置ブースには冷房が無く、
開催2日目、3日目は粗末な配電設備が原因の停電が発生。今週木曜には建国記念日のダンス・パフォーマンスのリハーサル中にステージ・セットのパネルが転落する事態が発生。
金曜には猛烈な暑さの中、熱中症で44人がメディカル・ケアを受け、11人が病院に搬送され、更に7人が高度救命措置を受ける事態に現場がパニックに陥り、午後5時までイベントが閉鎖になる有り様。
敷地内に設置された トランプ氏が建設を主張する巨大アーチのレプリカは、1週間も経たないうちに大きなヒビが入る安造りを露呈しており、
国民の寄付と税金が粗末な茶番イベントを通じてトランプ支持者のビジネスを潤している疑惑については、民主党議員が本格的調査に乗り出す意向を示しているのだった。
今週からワールドカップは決勝トーナメントに入ったけれど、40年ぶりに決勝トーナメントで勝利を挙げたのが共同ホスト国のメキシコ。
しかしその勝利は物議を醸しており、それというのも大勢のメキシコのサポーターが試合前夜に対戦相手エクアドルが滞在するホテルの外に集結。
深夜までエアホーンや太鼓、花火等を使った大騒音によって妨害し続けたのが選手たちの睡眠と休息。
その試合前日、エクアドルはグループ・ステージで滞在していたオハイオ州コロンバスからメキシコ・シティへ直線距離にして3352キロを移動。
フライト遅延や交通渋滞で9時間の遅れが生じ、チームがホテルに到着したのは午後8時20分。その疲労困憊の状態で見舞われたのが睡眠妨害。
当然のことながらエクアドル・サッカー連盟は、メキシコ・ファンの行動について「フェア・プレーと選手の安全性が守られなかった」としてFIFAに公式抗議を申請。
さらにメキシコ・サポーターは、試合中にもエクアドル選手に対してホモフォビックなチャンティングを繰り広げて世界的批判を招き、FIFAから罰金処分を受けたけれど、
メキシコがエクアドルに敵意を剥き出しにするのは、ある事件をきっかけにメキシコがエクアドルとの外交関係を絶ち、深い遺恨を残しているため。
それは2024年4月、メキシコから政治亡命を認められたホルヘ・グラス元副大統領を逮捕するため、エクアドル警察が同国首都キトにあるメキシコ大使館に突入した事件。
大使館は1961年に制定されたウィーン条約で治外法権的な不可侵性を持つエリアと定められており、現地警察による大使館突入は明らかな違反行為。
以来緊張関係にあった両国のテンションがワールドカップの直接対決で一気に高まったようで、
ワールドカップが政治とは切り離せない様子を改めて感じさせていたのだった。
同時にエクアドル代表の9時間もの移動の遅れは、3カ国共同開催という今大会の問題点を改めて露呈するもの。
前回カタール大会の平均的な試合移動距離は約54キロ。それに対して今大会はグループ・ステージの3試合だけでチームの総移動距離は平均4800~5000キロ。
FIFAは各国チームの移動負担を軽減する配慮をしているとは言うものの、ボスニア・ヘルツェゴビナがグループ・ステージで最長の5100キロを移動したのに対し、
エジプトは僅か392キロ、優勝候補のフランスは545キロで明らかな不平等。
エクアドルが試合前日に移動した3352キロは、東京から直線距離で飛べば、フィリピンのミンダナオ島に辿り着く距離で、日本の北海道の先端から沖縄の石垣島までの直線距離は3000キロ。
開催国として移動が少ないメキシコ・チームに対して、エクアドルが多大なディスアドバンテージを背負っていたのは容易に想像がつくところ。
そのメキシコは、40年ぶりの勝利後にストリートに繰り出した群衆の渦の中で、19歳と48歳の女性、44歳の男性が窒息死する事態が発生。
節度あるセレブレーションが呼び掛けられていたのだった。
FIFAへの不満や批判が日に日に高まる中、既に物議を醸している
VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)にアメリカ・サポーターの怒りが爆発したのが、7月1日に行われたアメリカVS.ボスニア・ヘルツェゴビナ戦。
試合は2-0でアメリカが勝利したものの、チーム最多得点を挙げているフォラリン・バログンに対するレッドカードに米国サポーターは大激怒。
この試合でもアメリカの先制点を挙げたバログンは、後半でボスニアのタリク・ムハレモヴィッチと足が絡み合い、
それをブラジル人主審ラファエル・クラウスがVARで確認した結果、「相手選手にスパイクの裏をこすりつける著しく不正なプレー」と判断。
即座に退場となった上に、バログンは7月6日の強豪ベルギー戦も欠場となり、
SNS上に溢れたのが「あの程度でレッドカードはありえない」、「あんな偶発的プレーにVARを使う必要があるのか」という激怒の声。
6月16日の対アルジェリア戦ではアルゼンチンのリオネル・メッシがそれより酷い同様のプレーを見せたもののレフリーがVARを使用せず、
ただのファウル扱いになったことが大きな物議を醸しており、今大会から導入されたVARが不当な判定の強い味方として悪用される実態を改めて感じさせていたのだった。
フォラリン・バログンは、ナイジェリア人の両親がNYのブルックリンに住む親族を訪ねた際に生まれて米国籍を獲得した「バースライト・ベビー(米国出生による市民権保持者)」。
今週には市民権やグリーンカードを持たない親から生まれた子供達の米国籍を取り消そうとしたトランプ政権の目論みが連邦最高裁によって覆され、これまで通りの出生地主義の市民権が認められただけに、
バログンを欠くことは戦力以外の理由でも失望する人々が少なくなかったのだった。(7月5日にFIFAはバログンへの出場停止処分に1年間の執行猶予を与えたため、バログンはベルギー戦に出場が可能になっています。)
バログンのレッドカードには多数のスポーツ選手やセレブリティも抗議を寄せており、それに含まれていたのが引退したNFLイーグルスのプレーヤーで、
7月3日にテイラー・スウィフトと結婚したトラヴィス・ケルシーの兄、ジェイソン・ケルシー。
彼の投稿は式の準備の合間を縫ってのもので、「ウェディングに集中するように」たしなめる声もあったほど。
そのテイラー&トラヴィスがNYのマディソン・スクエア・ガーデン(以下MSG)で行ったウェディングは、7月2日のリハーサル・ディナーが100人のゲストを招いた庭園セッティング、
翌3日の挙式はスタジアム内に建てられたキャッスルを舞台に、スティーヴィー・ニックスらのパフォーマンスをフィーチャーした招待客1000人の大イベント。
準備段階からテイラー・ファンや取材陣がMSG周辺に集まり、NY市が負担する警備費用は100万ドル。
しかしトランプ氏がNFLファイナル第3戦にやって来た際にNY市が負担した警備費用700~1000万ドルに比べると、
テイラーのウェディングはゲストの滞在費やウェディング関連のビジネスの経済効果が出費を大きく上回るもの。さらにテイラー&トラヴィスは
今週20のチャリティにウェディング・ギフトとして合計2600万ドルの寄付を表明しているのだった。
2024年の大統領選挙でカマラ・ハリスに支持表明をしたテイラーに対し、トランプ氏が「I Hate Taylor Swift!」と語り、
「自分はテイラー・スウィフトより人気がある」と敵対心を剥き出しにしてきたことは周知の事実。
テイラーが建国250周年のJuly 4thウィークエンドを意図的にウェディングに選び、トランプ政権主宰のセレブレーションから
パブリシティを奪おうとしたかは定かではないけれど、今週末のアメリカで人々の関心、メディアとSNSのフォーカスがより注がれているのはワールドカップとテイラーのウェディング。
逆に建国250周年については 「例年のJuly 4thよりずっと壮大で愛国的なイベントで溢れるのかと思っていた」という声が国民から聞かれ続けているのだった。
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執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |


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