Art of Melania's Deal
The Untold Story of Mrs. Trump

孤独、野心家、策略家!? 夫に似ていると書かれた
知られざるメラニア・トランプの素顔

Published on 06/19/2020


アメリカで6月9日に出版されたのがワシントン・ポスト紙のジャーナリスト、メアリー・ジョーダン著の 「The Art of Her Deal: The Untold Story of Melania Trump」。このタイトルは トランプ大統領の最も有名な著書、「The Art of Deal」から取ったもの。 メラニア夫人については2019年12月にもケイト・ベネット著の「Free Melania」という本が出版されており、 そこに描かれていたのは歴代のファーストレディとは異なり、自分が望まないままファースト・レディになってしまった犠牲者としての メラニア。
ところが同書の執筆に当たり5ヵ国、100人以上の人々とのインタビューを行ったメアリー・ジョーダンが明かしているのは、 トランプ氏の大統領当選を後押しし、夫同様に野心的で、時に策略家でコンペティティブな夫人の姿。 286ページの同書で語られているのは、多くのアメリカ国民が描く”トロフィー・ワイフ(お飾りの妻)” のイメージとは異なるものなのだった。



知られざる野心的な素顔


メラニア夫人と言えば、友達が居ないというのはかなり以前からニューヨークのハイソサエティの間では有名な話。 結婚式はブライズメイド無しで行われ、それほど親しい女友達が居なかったのがメラニアであるけれど、 自分でも特に友達を作ろうとはせず、友達にさほど価値を見出していないとのこと。 2006年に息子バロンが生まれてからのNY生活は、一日の大半の時間を息子バロンと過ごし、 最も近しいのは妹、そしてメラニアをスポンサーにしてアメリカ国籍を取得した両親。 それ以外に交友関係があるのはメークアップ・アーティストやスタイリストなど、 彼女が給与を払って雇っている人々。
しかしながら知り合いは多くても信頼できる友達が居ないのはトランプ氏も同様で、お互いに本当の友人が居ないという状況が トランプ夫妻の絆を深めてきたという。
当初7ヵ国語を話すと言われたメラニアであるものの、実際に話せるのは英語とスロヴァニア語だけで、 前回の大統領選挙の際に大学卒業と書いたパーソナル・プロフィールが偽りであったことが発覚しているのだった。

メラニアがホワイトハウスに正式に引っ越したのは 夫の就任の6ヵ月後。 それまでバロンの学校を理由にニューヨークに滞在し、その間に行っていたのが 美容整形とプリナプチャル・アグリーメントの書き直し。プリナプチャル・アグリーメントは通常は婚前に離婚後の財産分与を取り決めるために交わす合意書。 メラニアはトランプ氏がファーストレディとしての自分の存在が不可欠になった段階で、結婚時にサインしたアグリーメントの書き直しを交渉。 自分が過去3人のトランプ氏の妻の中で一番婚姻期間が長いことなどを挙げて、 生別死別に関わらずトランプ氏からより多くの資産を受け取る合意を取り付けたのがこの段階。
メラニアがホワイトハウス入りを6か月遅らせた結果、国民の税金20億円がメラニアとバロンの2人の警備だけに費やされているのだった。

夫妻を良く知る人々によれば、夫妻はホワイトハウス入りする前から長年ベッドルームが別々。 しかしメラニアは感情的になったトランプ氏を収める術を心得ており、トランプ氏の写真写りをアドバイスするなど、 報道されている以上に大統領に様々な助言をする立場で、運命共同体的な結びつきとさえ表現される関係。 メアリー・ジョーダンは世間一般でメラニアとトランプ氏が正反対のように言われているものの、実際には共通点が非常に多いことを指摘。 スロヴァニアのティーンエイジ・モデルからステップアップしてきた彼女の野心や策略が、 トランプ氏のこれまでのビジネスに似ていること、 そしてメラニアがトランプ氏の2016年の大統領選挙を ”自分達” の戦いと捉えていた様子を明らかにしているのだった。



イヴァンカとの確執


これまで様々なメディア報道や、トランプ政権に関する著書で指摘されてきたのがメラニアとイヴァンカの不仲であるけれど、 「The Art of Her Deal」でも書かれていたのが2人の確執。 今年50歳のメラニアと、トランプ氏の長女で38歳のイヴァンカは共に大統領に影響力を持つ存在であるけれど、 メラニアはセルフセンターのイヴァンカを「プリンセス」と呼び、イヴァンカは口数が少ないメラニアを「ポートレート(肖像画)」と呼んでいるとのこと。
イヴァンカはメラニアのワシントン入りが遅れていたのを利用して、ホワイトハウス内のイースト・ウィングにあるファーストレディ・オフィスを ’’ファースト・ファミリー・オフィス”にしようと画策して失敗。 大統領アドバイザーになってからは、メラニアと距離を置く意味も兼ねて父親に近いウエスト・ウィングにオフィスを構え、彼女が扱うのは女性の社会進出、 キャリア改善などの問題。 通常、女性問題はファーストレディが取り組む課題であるものの、メラニアがホワイトハウス入りした段階で既にこれに取り組んでいたのがイヴァンカ。 そのため 暫しファーストレディとしてのプロジェクトが決まらなかったメラニアが後に掲げたのが子供達の虐めを撲滅する”Be Best” のキャンペーンで、 お互いのテリトリーを侵害しないように取り図られているとのこと。
ホワイトハウスはメラニアとイヴァンカの不仲を否定しているものの、その不仲ぶりな前述の書籍「Free Melania」でも指摘され、 2人が一度もジョイントでイベントをホストしたことがないのも不仲を立証するもの。 メラニアはイースト・ウィングの自分のオフィス・スタッフを最小限にして、夫のオフィスのように内部告発や暴露が起こらないように配慮しており、 コロナウィルス感染時にはイヴァンカ、ジャレッド・クシュナーがトランプ大統領の意向にしたがってマスクを着用せずにイベントに出席する中、 自分のスタッフにマスク着用を義務付け、自らもマスク姿でプレスの前に姿を見せるなど、独自の路線を見せていたのだった。



息子バロンの将来の保証


メラニア夫人がプリナプチャル・アグリーメントの書き直しで最もこだわったと言われるのが、息子バロンの将来の保証。 メラニアや彼女の両親と過ごす時間が長いバロンはスロヴァニア語を堪能に話し、 トランプ氏の前でもメラニアとはスロヴァニア語でコミュニケートするのが常。 そのためトランプ氏は頻繁に「何をしゃべっているか分からない」と文句を言っている一方で、 バロンとは殆ど時間を一緒に過ごしていないのはこの本の出版前から指摘されてきたこと。
そのためメラニアが書き直したアグリーメントで明記したのがバロンにスロヴァニアの国籍を取得させ、二重国籍にすること。 彼を財産分与やビジネスの継承においてイヴァナ・トランプとの間に生まれた3人の子供達と差別しないこと。 特にイヴァンカがファミリー・ビジネスを引き継いだ際に バロンが差別されないように バロンがヨーロッパでトランプ・インターナショナルのビジネスが出来るように取り計らったと言われるのが書き直されたプリナプチャル・アグリーメント。

しかしアメリカでは「The Art of Her Deal」の出版と前後して、 6月23日に発売予定のジョン・ボルトン元トランプ政権国家安全保障問題大統領補佐官の著書 「The Room Where It Happened: A White House Memoir」」が 多大なパブリシティを獲得したことから、すっかり陰が薄くなってしまったのがこの本。
それもそのはずで、 トランプ大統領が再選のために大阪サミットで 中国のシー・ジンピン主席に アメリカの農産物輸入を増やし、農家が多い州での支持が固められるように”懇願”する一方で、 ウイグル人をはじめとする中国イスラム教徒の再教育収容所への閉じ込めを支持したエピソード、 大統領がロシアのプーチン大統領の言いなりになっている様子などのスキャンダル要素で溢れているのがジョン・ボルトンの著書。 それ以外に娘イヴァンカ・トランプがホワイトハウスのアドバイザーになっても ずっとプライベートEメール・アカウントを使用し続けていたことが問題になった際に、 トランプ氏がわざとワシントン・ポストのジャーナリスト、ジャマル・カショージを殺害したサウジアラビアの モハメッド・ビン・サルマンを擁護する発言をして イヴァンカ批判から関心を逸らそうとしたこと、 ジャレッド・クシュナーとイヴァンカが2020年の選挙の際には元国連大使の ニッキー・ヘイリーをマイク・ぺンスの代わりに副大統領候補に推したところ トランプ氏がヘイリー氏を「C**t」(女性蔑視の放送禁止用語)と呼んだこと、マイク・ポンぺオ国務長官が シンガポール・サミットの際にトランプ氏のことを「He's so full of sh** ! (こいつはクソッタレだ)」と書いたメモをボルトンに渡していたことなど、 トランプ政権のガタガタの内情が書かれているのがこの本。
その中で批判されたウィリアム・バー司法長官率いる司法省が、ジョン・ボルトンに対して訴訟を起こしているけれど、 それとは別にトランプ氏個人が訴訟を検討していると報じられたのが自らの姪、メアリー・トランプ。 というのも彼女もトランプ家の内情を暴露する本を執筆したためで、 その中ではトランプ氏がアルツハイマーになった父親をからかうなど、家族、親族に対して長年虐待行為を行っていた様子、 親族が皆トランプ氏を好んでいない実態等が描かれているとのことで、こちらは7月出版の予定。
でもトランプ支持者はどんな事実が暴露されても、トランプ氏を支持してきたのが2016年の選挙。 それだけにトランプ再選が実現するかは別として、これらの書籍が「熱烈なトランプ支持者の気持ちを変えることは無い」と言われるのだった。


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