Sep 6 ~ Sep 12 2026

Barron Trump's Inconvenient Truth
今や父親より中間選挙結果に怯えるバロン・トランプが関わる様々な疑惑


 ブリタニカ百科事典によれば、2026年9月1日から突入したのが2020年代後半。2020年代前半は2020年1月1日に始まり2023年4月30日まで、 2020年代中盤は2023年5月1日から2026年8月31日まで。 そして2026年9月1日から2029年12月31日までが2020年代後半。
 2000~2010年は前半がドットコム・バブル崩壊と9・11テロ、中盤でサブプライムローン問題が過熱し、後半でリーマンショック&初の米国黒人大統領誕生。 2010~2019年は前半でリベラル派が力をつけて、中盤でゲイ婚姻が合憲化する中、地方の白人保守派が不満をつのらせ、後半はまさかのトランプ大統領誕生。 そして2020年代は、前半がパンデミック&AI躍進、中盤はAI普及とトランプ政権復活&やりたい放題。 そして後半の展開の鍵を握るイベントの1つが11月の中間選挙。それと同時にAIが独自にコミュニケーション・ネットワークを拡大し、人類を脅かす存在になると言われるのが後半。
 事実、オープンAIが今週リリースしたGPT6はウェブサイトがロボットではなく人間によるアクセスであるかをチェックする全48段階のキャプチャ・テストを全てクリアしたとのこと。 更に今週には、クロードで知られるアンスロピックで最先端AIの開発に関わっていた研究者、ジェイコブ・コクソン(27歳)が突如辞職し、 「開発者の多くが、AIが人類を10年以内に滅ぼすと信じている」とSNSに投稿。24時間も経たないうちに1億以上の閲覧数を記録したけれど、 程無く登場する”スーパー・アーティフィシャル・インテリジェンス/超人工知能”は、どんなシステムもあっさりハッキングし、現実世界での権力やリソースを握り、再帰的自己改良を 可能にするとのこと。彼に賛同する同じくアンスロピックのAI研究者は、人類が10年以内に滅亡する確率を10%以上と予測しているとのこと。
 コクソンはアンスロピックの前には2023~2026年までオープンAIでGPT-4o関連の仕事をしており、AIの最先端企業が人類の将来に無責任な開発を続けていると警告。 しかしトランプ政権はAI規制を行う意思は無く、逆に開発を推進して中国とのAI戦争に勝利することしか考えていないのは周知の事実。 それだけでなくトランプ氏はAIに不可欠なデータセンター建設関連企業に多額の個人投資を行っており、データセンター誘致に積極的な共和党議員、及び共和党州知事は それに反発する有権者のバックラッシュで中間選挙に敗れる可能性が高まっているのだった。



今、バロン・トランプが否定的にフォーカスされる理由


 今年20歳になるバロン・トランプがこの夏をどう過ごしたかと言えば、同年齢の大学生にありがちな友人達とのハングアウトではなく、 ニュージャージー州のベッドミンスターにあるトランプ氏経営のカントリー・クラブで母親のメラニアと過ごしたとのこと。 でもゴルフをしていた訳ではなく、ほぼ引きこもり状態であったことをレポートしたのが保守メディアであるNYポスト紙。
 その理由の1つはイランがトランプ氏同様にバロン・トランプの首にも懸賞金を懸け、彼が暗殺のターゲットになったと報じられたこと。 バロン自身も2024年7月のトランプ氏の暗殺未遂事件、そして昨年のチャーリー・カーク殺害事件で公の場での安全について疑心暗鬼になっているとのことで、 外に出て行くことはリスクを伴うという意識を持っているようなのだった。 しかし世の中では、2020年の選挙に敗れたことを事ある毎に持ち出しては新しい陰謀説を唱えるトランプ氏が、何故自分の命が狙われた暗殺未遂については一切の陰謀説を語らず、現場で射殺された容疑者についての捜査もウヤムヤになっていることに首を傾げる意見は多く、捜査の不自然なプロセスが今更ながら指摘されているのが実情。

 さらにバロンは、セックス・トラフィッキングやレイプ、人身売買の容疑で、ルーマニアとイギリスから合わせて数十の容疑で訴追されている アンドリュー&トリスタン・テイト兄弟をメンターとして尊敬し、ドナルド・トランプJrと共に、ルーマニアで身柄を拘束されていた兄弟の釈放を父親に取りなす役割を演じただけでなく、 2人と頻繁にコミュニケーションを取っていた疑いで、米国議会で証言を求められているのが現在。 そのため、現在はあえて名前や行動がメディアに出ることを避け、水面下で生活することを好んでいるとのこと。
 ここで問題になっているアンドリュー&トリスタン・テイト兄弟は、自らをミソジニスト(女性嫌悪主義者)と謳い、 いわゆる「マノスフィア(男性至上主義的ネット・コミュニティ)」を構築してきたインフルエンサー。 兄のアンドリューは英国のリアリティTV『ビッグ・ブラザー』にも出演した元キックボクサーで、番組から途中で追い出されたのは女性をベルトで殴るビデオがネット上に流出したため。 このスキャンダルで知名度を上げたテイト兄弟は2010年代から、ウェブカメラを通じて女性が有料顧客向けにライブ・パフォーマンスを行うオンライン・ポルノ事業を 母国イギリスで行っており、その後被害者女性が2人を強姦、人身売買等で訴えたため、ルーマニアに移住。
 彼らの手法は、まずルックスが良く若い女性、それも社会的な後ろ盾が無い移民や経済的に豊かとは言えない女性を狙って交際を始め、 暴力や脅しによる主従関係を構築しながら、パスポートを取り上げ、監禁し、オンライン・ポルノの手法を教え込んで稼がせ、その売り上げを着服するというもの。 さらに彼らは自己啓発セミナーと称して、女性蔑視の思想や、筋力を高めるフィットネス、そして自分達のように 女性を奴隷のようにこき使って起業する手法を伝授するコースやプライベート・ネットワークへのアクセス権の販売も開始。 しかしそうしたインフルエンサー業は殆ど稼げないサイド・ビジネスで、 英国裁判所の係争中の主張によれば、2014年~2022年までの8年間にテイト兄弟はオンライン・ポルノで2100万ポンド(約2800万ドル)の収益を得ているのだった。
 テイト兄弟のSNSコンテンツは女性への暴力指南など、内容が過激であることからTikTok、インスタグラム、ツイッター等、多くのプラットフォーム上でアカウントが停止処分になったけれど、 2022年10月にツイッターを買収したイーロン・マスクは彼らのアカウントの停止処分を真っ先に解除。 やがて2022年12月にルーマニアで強姦、マネーロンダリング、人身売買で訴追された2人は容疑を否認。 自宅軟禁、海外渡航禁止処分が続く中も、トランプJrやバロンと頻繁なコミュニケーションを続け、 2024年の大統領選挙ではフォロワーにトランプ支持を呼び掛け、ポッドキャスターのジョー・ローガン同様に、 若い男性のトランプ支持を盛り上げたと言われる存在。そしてジョー・ローガンとテイト兄弟の票集めのパワーをトランプ氏に訴えたのが バロンであることはあまりにも有名なエピソード。
 テイト兄弟をフォローしているのは、いわゆる”インセル”と呼ばれる女性に相手にされない怒りをつのらせるタイプよりも、 自分がある程度女性に受け入れられると思っている、もしくは勘違いしている男性。 アメリカではこうした若い男性は判で押したように保守右派のキリスト教で、頼まれなくてもトランプ氏を支持する層でもあるのだった。
 やがてトランプ氏が二期目の大統領に就任した直後の2025年2月、 テイト兄弟はルーマニアでの渡航禁止措置を解かれ、それにトランプ政権が関与したのはルーマニア政府も認めた事実。 アメリカ国籍も持つ彼らが、アメリカへの出国が認められた際に語った "The Tates will be free, Trump is the president. The good old days are back. And they will be better than ever. (テイト兄弟は自由になる。トランプが大統領だ。古き良き日が帰って来る。今まで以上に最高になる)"と語ったことは、 イギリス、ルーマニアで2人の被害を訴えていた女性達を激怒させていたのだった。



血は争えない!?、トランプ家のルーツ


 2025年秋にはバロンがトランプタワーの地下のフロアを貸切って、女性とデートしたことが報じられたけれど、女性経験が少ない彼に どうやって女性心理にインパクトを与えるかを指南したと言われるのがテイト兄弟。 しかし本人達は、周囲が思うほどには裕福では無かったようで、彼らのSNS投稿に写っていたプライベート・ジェットやヨット、フェラーリ等は全て借り物であったとのこと。
 そのテイト兄弟が今年7月に再びメディアの注目を集めた理由は、アンドリューに対し42件、トリスタンに対して17件、合計59の罪で訴追したイギリス政府が アメリカに対して身柄引き渡しを要求し、2人がフロリダ州で逮捕されたため。拘留中のアンドリューは、SNSで「自分の支持者たちが刑務所の外で大々的な抗議活動を繰り広げている」と投稿したけれど、その主張は実際に刑務所の外に誰もいない様子を撮影したビデオで覆され、インフルエンサーとしてのパワーもすっかり衰えたのが現在のテイト兄弟。
 さらに今週フロリダ州の裁判所はイギリスへの身柄引き渡しが決まるまでのテイト兄弟の保釈要求を棄却。 トランプ政権は もはや影響力が衰えた2人を擁護する必要性が無いと言われるものの、 テイト兄弟がバロンに関する何等かの重要な秘密を握っている場合には引き続き2人を擁護すると見られているのが現在。

 しかし2人の身柄を英国政府に引き渡したところで、民主党によるバロンへの追求は収まることはなく、テイト兄弟との関りだけでなく、 トランプ氏のSNS投稿直前のレバレッジを利かせたインサイダー・トレーディング、及びトランプ家が経営する クリプトカレンシー企業、ワールド・リバティ・ファイナンスの違法経営疑惑等、民主党が議会で過半数を占めた途端に複数の容疑の捜査対象になることは確定的。 彼の20歳という若さに同情する声は驚くほど少なく、「親の選挙活動に口出しをして、インサイダー取引をしているなら立派に大人」と、彼の責任を問う声は多いのだった。

 それと同時にSNS上でアメリカ国民を呆れさせているのが、父親と息子が共にマネーロンダリングを行うセックス・トラフィッカーと親しい関係になっていたことで、 トランプ氏が関わったセックス・トラフィッカーは言うまでもなくジェフリー・エプスタイン。  トランプ氏とバロンは親子というよりも祖父と孫の年齢差であるけれど、トランプ氏の祖父、フリードリッヒ(後ににアメリカ流にフレドリックと改名)・トランプは、 1885年に16歳でアメリカに渡り、暫しNYで床屋に勤めた後、始めた事業に失敗。そして19世紀後半のゴールドラッシュの際にカナダに移り、そこで金鉱を掘るのではなく、 レストラン、酒類販売、売春宿を経営。金鉱労働者に食料や酒、売春婦へのアクセスを提供し、代金としてゴールドを受け取ることで富を築いた人物。 トランプ氏へのゴールドへの執着、セックス・トラフィッキングへの関りはDNAの成せる業とも言われるけれど、少なくともトランプ氏の祖父が売春宿を経営していた時代は 売春が違法になる前。
 ちなみにエプスタインのセックス・トラフィッキングについてはポーランド、ノルウェイ、ラトヴィア等、世界各国政府も捜査を進めており、 それらの政府がエプスタイン捜査資料の司法省による塗りつぶしの無いオリジナル文書の公開を求めていることが報じられたのが今週。 しかしトランプ氏個人の刑事弁護士から司法長官に就任したトッド・ブランシュはこの要請を全て無視しており、 ブランシュはアメリカ史上初めて司法の頂点のポジションを手に入れた刑事弁護士。今後も犯罪者擁護の方針は続く気配なのだった。  

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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