$80M Duplex Plaza Penthouse
20億円のディスカウント!それでも未だ売れない
トミー・ヒルフィガー・デザインのプラザホテル・ペントハウスとは?
Published on 2/14/2017
ファッションデザイナー、トミー・ヒルフィガーが2008年から何とか売却しようと試みてきたのがここにご紹介する
プラザ・ホテル内のペントハウス。
これはニューヨーク5番街のセントラル・パークサウスにあるプラザ・ホテル内の18&19階に位置し、
セントラル・パークを見下ろすデュプレックス。2008年当時のこの物件は、ホテル改装に伴い、
古かったビルディングのインフラに手が入れられた一方で、内装には全く着手していない建築中のような状態。
それを当時5000万ドルで売却して利益を上げようとしていたのが、
トミー・ヒルフィガー夫妻。
というのも、それまでのニューヨークは不動産バブルが続いており、夫妻がこの物件を2550万ドルで購入した際には、
何処にも手を入れなくても 物件のロケーションやステータスを武器に2450万ドルの利益を乗せても
あっという間に買い手が付くであろうことは夫妻でなくとも見込んでいたもの。
ところが2008年に住宅バブルがはじけ、そう簡単に高額物件が売れない時代に入ったため、
ヒルフィガー夫妻はその時点での売却を見送り、取り組んだのが
約23億円を投じたペントハウスのリノベーションとデコレーション。
そして2013年に仕上がったゴージャスなインテリア(写真下)の物件に8000万ドル(約91億円)という価格をつけて売り出したのだった。
写真上のように、バスキ゜アらのモダン・アートをフィーチャーしたラグジュリアスなペントハウスは、
売り出し直後から多数のパブリシティを集めたものの、ヒルフィガー夫妻にとって2度目の誤算となったのは、
その高額がネックになって、やはりペントハウスに全く買い手が付かなかったこと。
ヒルフィガー夫妻は、日頃はコネチカットの邸宅に暮らしており、同ペントハウスは夫妻にとって
完全な投資物件。レンタルをすれば それだけ物件の価値が下がるため、バイヤーが現れるまでの
同物件の高額な維持費は夫妻が負担をしていたものの、それが続くと大散財になるのは言うまでもないこと。
そこで、まずは1000万ドルのディスカウントがされて、
7000万ドルという価格になったものの、それでもバイヤーが現れない状況に嫌気が差したのか、
2016年末にはオリジナル価格から26%引きの5890万ドルへと値下がったのがここにご紹介するペントハウス。
すなわち20億円以上のディスカウントがされているにも関わらず、全く買い手がつかないのがこの物件。
でも前述のようにプレステージの高いロケーション、トミー・ヒルフィガーが直々にデザインしたインテリア等、
好きか嫌いかは別として 高額で売却されても不思議ではない要素に満ちているのは事実。
以下では、そのトミー・ヒルフィーガーがデザインしたプラザ・ペントハウスのインテリアをご紹介します。
モダン・アートのコレクターであるトミー・ヒルフィガーのお気に入りであるバスキアのペイントをフィーチャーしたエントランス・エリア。
クラシックなリヴィング・ルームと、デュプレックスのアッパー・フロアに続くらせん階段。ここでもバスキアの絵が印象的にフィーチャーされています。
リヴィング・ルームのサイドのアルコーブは書斎のようなエリア。ここにはアンディ・ウォーホールによる
エリザベス・テイラーの肖像画がフィーチャーされています。
ニューヨークのど真ん中に位置することを忘れさせるような吹き抜けのドームは壁のミュラルとドレープで、
クラシックなダイニング・エリアに改装されています。
写真上はドームの隣に位置するフォーマル・ダイニング・ルーム。複数のクリスタル・シャンデリアがテーブルの上に吊られ、
ダイニング・チェアにはエキゾティックなハンドペイントが施されています。天井の低さはインティメートな雰囲気を演出するものの、
昨今のバイヤーには好まれないポイント。
ブラック&ホワイトでデコレートされたクラシックなキッチン。でもペントハウスではホテルのルーム・サービスなどの
アメニティが利用できるため、全く料理をしない人でも気軽にケータリングでパーティーが楽しめます。
でも自ら料理を楽しむグルメにとっては、このキッチンはクラシック過ぎて不便な印象に仕上がっています。
エントランスのある下のフロアのリヴィング・ルーム。上下に開閉する小さな窓は、ニューヨークの60年代以前に建てられた建物に多いものですが、
こうした古さもバイヤーが付かない理由の1つになっています。
写真上はホーム・オフィス兼書斎。
イギリスの古いパブを彷彿させるライティングとブラックにペイントされたブック・シェルフ。
フロアのアニマル・ラグとレザーチェアがマスキュランな雰囲気を演出しています。
写真上はアッパー・フロアのメインフィーチャーであるマスター・ベッドルーム。
ホワイトとベージュで統一されたインテリアで、他3室あるベッドルームとは少し隔離された位置にあります。
マスター・ベッドルームには、マスター・バスルーム、ウォークイン・クローゼットが併設されています。
ブラック&ホワイトで統一されたのゲスト・ベッドルーム。
プラザホテル独特の建物の屋根に沿った部屋のカーブを上手く生かしたインテリア。
窓の小ささを壁のフォト・フレームで上手くカモフラージュしています。
この寝室にも大きなウォークイン・クローゼットが併設されています。
それぞれに雰囲気が異なる子供用寝室。写真上、上段は女児用のラヴェンダーで統一したインテリア。
写真上、下段は男児用のベッドルームとしてデザインされたもの。真っ赤な壁とクローゼットのコントラストが、
以下にもトミー・ヒルフィガーらしい雰囲気ですが、子供部屋とは言え、照明はシャンデリア。
マスター・ベッドルームから出られるテラスから眺められるのが、セントラルパークの絶景。
階下のドーム・スペースの屋根が、テラスのオブジェのような役割を果たしています。
天気の良い週末にはブランチが楽しめるエリア。
4ベッドルームというさほど大きくない物件、しかも窓が小さく、天井が低く、
キッチンやバスルームが美しく仕上がっているとは言え、モダンとは言えないのは物件の価値を落としているポイント。
またトミー・ヒルフィガーが手掛けたデコレーションも ラグジュアリーではあるものの、
若い層のマルチミリオネア、ビリオネアを遠ざけてしまうテイスト。
昨今のメガ・リッチは投資物件でも、自ら住む物件でも、投資物件でもモダンな内装とレイアウトを好むので、
果たしてこのペントハウスがいくらで売却されるかは興味深く見守られるところです。
★ 書籍出版のお知らせ ★
当社に頂戴した商品のレビュー、コーナーへのご感想、Q&ADVへのご相談を含む 全てのEメールは、 匿名にて当社のコンテンツ(コラムや 当社が関わる雑誌記事等の出版物)として使用される場合がございます。 掲載をご希望でない場合は、メールにその旨ご記入をお願いいたします。 Q&ADVのご相談については掲載を前提に頂いたものと自動的に判断されます。 掲載されない形でのご相談はプライベート・セッションへのお申込みをお勧めいたします。 一度掲載されたコンテンツは、当社の編集作業を経た当社がコピーライトを所有するコンテンツと見なされますので、 その使用に関するクレームへの対応はご遠慮させて頂きます。
Copyright © Yoko Akiyama & Cube New York Inc. 2020.