Vol.17 Sep 15 2026
Breast Implant Horror Stories
豊胸手術のホラー、生涯続く身体的&経済的負担の悪夢


 少し前にマイアミとLAに住む友人から立て続けに聞いたのが、豊胸手術のシリコン入れ替えに大金を支払う女性達の話。
 NYでは大きい胸が逆にキャリアの妨げになるケースがあるので豊胸手術はさほど多くないと言われるけれど、マイアミやLAのように富裕層が多数暮らし、年中気候が良くて肌の露出が多いエリアでは、 豊胸手術はライノプラスティ(鼻の整形)と同じ位頻繁に行われ、腕が良い医者が多いことからダラス・カウボーイズのチアリーダーも豊胸手術はマイアミやLAで行うのが当たり前。
 でもどんなに良い医者に掛かったとしても、豊胸手術は一生ものではなく、友人達が話してくれたホラー・ストーリーは 大金持ちだから治療費が払えたという壮絶なもの。 そんな実例をAIにフィードバックしながら、豊胸手術がもたらす一般的リスクを尋ねたところ、以下のようなものが挙げられていたのだった。


身体的リスクより、経済的リスク


 豊胸は通常10年単位の入れ替え、40歳以降は定期的なMRIや超音波検査が奨励されるハイメンテナンスな手術。 時間の経過や老化、ライフスタイルによってインプラントがずれたり、下がったり、不均一に定着するのは、どんなに上手い医者に掛かっても起こること。
 また20代、30代でインプラントをした時は1週間程度の安静で体調が回復するので、入れ替えもその程度だと思っていたら大間違い。入れ替えは古いインプラントと周囲に形成された 被膜を切除する外科的処理が必要で、加齢に伴い弱くなった身体でこの手術を受ければ、麻酔や術後の回復に伴う合併症リスクが高まるのは当然の成り行きで、 それを繰り返す必要があるのが豊胸手術。さらにインプラントは周囲の自然組織と同じように年齢を重ねる訳ではないので、加齢と共に体内の異物感が高まるケースも多いのだった。
 インプラントを入れ替えずに完全に除去した場合も、定期的な検査やメンテナンスが必要なのは同様。インプラント、その除去、入れ替え、メンテナンスには 保険が効かないので、その出費に経済力が耐えられるかも大きな課題。
 往々にして美容整形業界は安全を強調し、経済負担も比較的軽いように見せかけて まずはインプラントをさせて、 そこから始まる更なる美の追求とメンテナンスで大きく稼ぐのが常。 ある一定の年齢までは「こうすればもっと美しくなる」という理想像で施術を煽り、ある年齢を超えると「こうしなければ、一気に老けて見える」という危機感の煽りや、「今修正しておかないと、後からだともっと費用が掛かる」 という脅しによって金銭を吸い上げて行くのは周知の事実。
 身体の施術で豊胸手術と共に多いのが、脂肪吸引と俗に”BBL”と呼ばれるブラジリアン・バット・リフト、すなわちキム・カーダシアンのような大きなヒップにする手術。 これは脂肪吸引で吸い取った脂肪を、そのままヒップに入れるので同時に行うケースが多いけれど、 脂肪吸引は年齢を重ねてから体重が増えると、吸引により脂肪細胞が減った部分は皮下脂肪がつかない分、それ以外の部分に皮下脂肪が集中する結果、 首周りや膝が太くなり、いびつな体系になるのはよくあるケース。またBBLは注入した脂肪が臀部の太い血管に入り込み、心臓、肺、または脳へと移動することで血管が閉塞し、 死に至る脂肪塞栓症のリスクが高く、他の美容外科手術と比較して、死亡や合併症の発生率が極めて高い施術。その死亡率は何と4000件中1件。 BBLを行う医者ほどヤブが多いのもこの状況に拍車を掛けていると言われるのだった。



豊胸手術によって得られるものは…?

 世の中には、「ルックス・コンプレックスが美容整形で解消されるなら、それをやって自信を持って生きた方が良い」という意見は多いけれど、 「Easy com easy go」ということわざ通り、簡単に手に入れたものの効果はそう長続きしないのもまた事実。
 そもそも遺伝子が人間の健康状態に与える影響が30%であるのと同様に、 生まれ持ったDNAがルックスに与える影響も30%程度。可愛い赤ちゃんが人相の悪いティーンエイジャーになることもあれば、幼少期に普通のルックスだった子供が 20歳前後から突如垢抜けた美貌になるケースもあって、人間のルックスは自分の顔と身体の骨&筋肉の形成とその動きによって作られていくもの。 生育環境を含む後天的要因がルックスに及ぼす影響は、世の中一般が認識するより遥かに大きいのだった。
 実際に顔の整形は日頃の顔の筋肉の動きや表情のクセ、睡眠中の顔の向き等で徐々に元の顔に戻り始めることは美容整形医も認める事実。 豊胸手術や脂肪吸引、BBLのような身体改造についても、時間の経過に伴う見た目の違和感が出て来るケースが殆ど。 さらに豊胸手術は、ヴィクトリア・ベッカムやパメラ・アンダーソンのように、その後の価値観の変化でサイズを変えるケースも多く、 身体的&経済的負担やメンテナンスを考慮すると、豊胸手術を受けるというのは生涯付き合う高額な持病を自ら進んで抱えるようなもの。
 加えて大きなバストを好む男性は往々にして男尊女卑で、考えが子供っぽいとも言われるけれど、 少なくともアメリカではお金を掛けて、健康リスクを抱えてまで胸を大きくする女性は、手術で大きくした自分の胸に男性の視線が集まるのを好む女性達。 その意味では”類が友を呼ぶためのアトラクション”とも言えるのが豊胸手術。 アメリカでは年間に30~36万件のブレスト・インプラントが行われているというデータがあるけれど、これにはシリコンの入れ替えを含む修正手術、乳がんによる 乳房摘出後のインプラントが含まれているのだった。

 ちなみにトランプ大統領は、メラニア夫人を含む3人の妻が全員豊胸手術をしており、娘のイヴァンカに豊胸手術を勧めたのもトランプ氏。 当初イヴァンカがそれを拒んだために、トランプ氏が友達に頼んでイヴァンカを説得して豊胸手術を受けさせたストーリーは有名。
 そのイヴァンカが暮らすマイアミでは、ピッタリしたタンクトップをノーブラで着用し、 胸が不自然に高い位置で膨らんでいる若作りした50代という印象の、いかにもお金がありそうな女性を頻繁に見かけるけれど、 その滑稽さや違和感が分かない様子を見ていると、「大金持ちというのは、こういう価値観になることを意味するのだろうか?」と考えさせられてしまうのだった。

Yoko Akiyama

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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